大漁旗を使ったブレス

先週末、東北大震災の地である岩手県の釜石市、大槌町を訪ねた。ニュース等で復興のための瓦礫の受け入れや最近では仮設住宅の地主の土地返還問題等を観たり聞いたりしているが、正直関西から東北は圧倒的に馴染みが無く非常に現実感が乏しいと感じていた。募金活動やチャリティ運動には出来るだけ協力してきたつもりだが、どんどん自分の生活とはかけ離れた、まるでタイの洪水被害ではないが直接ビジネスや生活に関係なく、このまま関わりも無く過ごせる気がしていた。
しかし、僕も既に40代を迎え、家庭を持ち、ラグビーを通じ地域活動をする中で、このまま無関心というか無視した状況で過ごしていいのか?社会的な責務とか使命とかを考える時期にきたことを感じ、とりあえず観に行く事が先決だと感じ行ってきた訳です。たいそうに貢献するとか援助するのではなく、五感をフルに使って身を置こうと。
今回は岩手県の沿岸部をほんの1日で観て歩いただけでしたが、復興とは程遠いというのが正直な感想でした。生活基盤を作り直そうとか未来に向けた計画策定という段階でもなく、瓦礫を脇に置いて、今できる生活を維持している状態といった方が正しいかもしれません。もちろん、真新しい家や修復した家、津波被害はあったけど再生した街も観ましたけれど、沿岸部は全くの廃墟でした。多くの死者、行方不明者がいた街において、街をどう再生するかなんて誰がビジョンを語れるのでしょうか?空疎な理想論が今尚同地で暮らしている人とは関係無く語られているのではないでしょうか?
僕としては、今の段階を多くの日本人が訪れ目に焼き付ける事が重要だと思います。ボランティア活動や援助金を送らなくていいんです。荒涼とした大地、点在する仮設住宅、そこかしこに散在する瓦礫の山。無口な人。全てを受け入れるだけで十分です。何かを語ったり、することは簡単ではないと感じた旅となりました。

このブレスは、津波により、大量にゴミとなった大漁旗を編み込んだものです。僕が釜石市や大槌町の今の状態を話す語り部として周囲の人に伝えるためのトリガーのツールだと思い、時折身につけたいと思います。

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